脱成長ミーティング

 
 

 昨今、脱成長なる言葉が、少しずつ語られるようになってきました。地球上、世界中、日本全体で起きている大きな問題から個人的な問題までの根本原因が、限りのない経済成長を求めることにあると、なんとなく気づき始めた人が増えているからでしょう。働くことの辛さからくる底のない自分探しの中で、気づく到達点なのかもしれません。気づきの広がりは、3.11の震災と原発事故以降、ますます顕著になっています。


 地球環境と自然生態系の破壊、氾濫する投機マネー、若者の高い失業率、非正規化・劣悪化する労働、格差と貧困の広がり、コミュニティの解体、地域社会の疲弊……。そして孤独と生きづらさ。成長を求めれば求めるほど、世界と日本は、ますます混迷、危機、不安定の様相を深くしています。しかし、富と権力を握る支配エリートたちは、相も変わらず経済成長こそがすべての問題を解決する万能の処方箋であり、未来を拓く鍵だと言いつのっています。そして、なんとなく、根拠なく、そうした論調を信じている人びとによって、経済成長至上主義が支えられています。

 一方で、昨今、経済成長を追いかけるよりむしろ人と自然、人と人の関係のなかで生きることこそが幸せと豊かさと安心につながると同時に、次の時代への変革に寄与できると確信して行動する人びとが、点から線、線から面に連なりつつあります。「脱成長」=「経済成長至上主義からの脱却」へのオルタナティブでクリエイティブなアクションは、成熟社会/縮小社会/定常型社会/循環型経済/コミュニティ経済/エネルギー自給の地域づくり/「里山資本主義」/地域自給圏構想/ダウンシフターズ/半農半Ⅹ……と、表現はさまざまですが、すべてが連動して心地よい躍動となり、希望が満ち満ちています。

 こうして脱成長社会は萌芽として姿を現わしつつも、まだ大きな方向、粗削りな輪郭にとどまっていることもたしかです。脱成長社会でやっていけるのかという疑問・批判・不安がまだまだ多数を占めています。


そこで、脱成長をめざすさまざま思想的・理論的な提起や実践的な試みから学びつつ、未解決の論点や課題を煮詰めて、脱成長社会の構想をより魅力的で説得力のあるものに練り上げるため、「脱成長ミーティング」を立ち上げることを呼びかけます。誰もが何かを疑問に思ったときに図書館で資料や本からインプットして確信に磨き上げるがごとく、アウトプットの材料として活用してもらえたら幸いです。一人ひとりがつながりあいながら主役になる時代へ、スローなりともダイナミックに、脱成長社会への変革へと歩んで行きましょう。


                                            2014.4

 

【 呼び掛け人 】


大河

(経済学)


小口広太

(日本農業経営大学)


海棠ひろ

(ピープルズ・プラン研究所)


菅野芳秀

(山形、置賜百姓交流会)


関根佳恵

(愛知学院大学、農業経済学)


平忠人

(銀行員)


田中正治

(鴨川、新庄水田トラスト)


古沢広祐

(国学院大学、持続可能社会論)

【 発起人 】


白川真澄

(ピープルズ・プラン研究所)


高坂勝

(ダウンシフターズ著者)